ボチャードのプロップガン

<製作記>

皆さんの中で「ボチャード(ドイツの銃なので正式にはボルヒャルドかな?)」と言って「あぁ!あの銃ね!」とその形が思い浮かぶ人がどの位居らっしゃるかは甚だ疑問なんですが、まあルガーP08の御先祖様と言いますか、「お爺ちゃん?」位の銃と言った所なんですが、ボクの廻りの人間には意外とファンが多い銃の1丁です。
ボク自身も最近迄写真資料でしか見た事が無かったんですが、海外のマニアさんがコレクションしている実銃からシリコン取りされたプラキャスト製デコイ(無可動モデル)を手に取って、意外とコンパクトで使い易そうなのにビックリしました。
テレビ東京の深夜枠でオンエアーされている雨宮慶太監督の「牙狼 GARO」と言う番組を御存知ですか?
雨宮監督は、初期のヒット作「ゼイラム」の時から15年以上のおつき合いなんで、そのガンマニアぶりは良く知って居たんですが、(この年末の忙しい時期に??)このボルヒャルドピストーレが主人公になったお話(第21話「魔弾」)のエフェクトの御依頼が来ました。
この「牙狼」と言う番組も深夜枠の(かなり大人向け?)特撮番組と言う事もあって、雨宮監督の御得意のCG(コンピューターグラフィックス)バリバリの豪華な内容で、「こんなCG中心の作品ならボクの出番は無いかな?」とか思っていたら、先般急にオファーが在って、エフェクトを担当する事になり、造形の竹谷隆之さんのアトリエまで覗きに行くと、何と!ボチャードが在るじゃあ無いですか。
シナリオではこのボチャードと言う銃が「何か因縁の在る銃」みたいな設定(妖刀「村正」みたいなノリ?)で出るんですが、「当初発砲はCGで・・・」と言う話だったんですが、クランクインまで2週間程度はあるし、まあボクがエフェクトを担当する訳ですから大急ぎで発砲モデルをでっち上げました。
打ち合わせの時に監督に聞いた所では、「こんな(銃が主役の)作品もやってみたかったのも事実なんだが、CG担当スタッフが仕上げに追われて居て、1本くらい楽させてやろうと言うネライもあってネ・・・」と言うお話でした。
確かに深夜枠のこの時間帯の番組(の予算?)にしては素晴らしいクオリティーのCG処理がされています。
今作品「魔弾」はこの「牙狼」のアクション監督の横山誠氏(アクションチームAAC代表)が監督で、御本人自体が現在も現役のスタントマンですし、ボクともゼイラム以来の旧知の間柄ですし、(雨宮総監督は編集で撮影現場に居ないので?)2人でやりたい放題、3日間の撮影で、下手なビデオシネマの3〜5倍位の発砲数で、ガンマニアの方にも充分お楽しみ頂ける内容だと自負しています。
撮影はクリスマスも終って、「も〜幾つ寝るとお正月〜〜」と言う歌が聞こえる頃に、極寒の御殿場で開始されました。オンエアーは2月に入ってからですから、ゼヒ御覧になって下さい。東京地区は12チャンネル(テレビ東京)深夜枠なんですが、地方はどうなんですかね?
ケーブルテレビでのオンエアーも決定していますし2006年早々にはDVD化もされる様ですから、そちらでも御覧頂けるかと思います。


バックアップ用の電気発火はプラキャスト製の無可動モデルの片側のグリップ部をピラニア鋸で薄く切り取り、その下に電池ボックスと切り替え用のスイッチの入るスペースを切り出しました。デテイールはほぼボチャードのまんまです。
ブローバック用は誰もが考え付く、MGCのP08(樹脂製モデルガン)をベースに加工を始めました、グリップ部は「握ってしまえば判らない?」と言う事でそのまま!
ブローバックの調子は旧作「凶銃ルガーP08」以来のスペックが在りますから、それで調整した所、メチャ調子の良いプロップに仕上がりまして、結局電気発火の出番は無く、本編中全弾ブローバック発火で撮影が出来ました。
劇中アップになる事が考えられる弾丸も我が社で製作、サブタイトルが「魔弾」と言うコトなので、チャンとデザイン画が雨宮監督から届きまして、インデアンターコイズ(インデアングッズに付いているブルーの石)風の弾頭を歯科用レジンで製作、素材は乳白色なので1発は中に電飾を仕込んで「弾頭が妖しく光る」モノを作ってみました、まあこの作品はCGスタッフは充実しているので「こんなコトCGで簡単に出来る!」と言われそうですが、アナログ派人間の意地(?)です!。
燃えないゴミで拾ったレーシングカーのコントローラーでゆっくり明滅する仕掛けになっています。口径はチャンとボチャードの7.65ミリにしてあります。装弾カットに使用したマガジンは同じ7.65口径のトカレフのモノにボトムだけ「それらしく」くっ付けて使用、正確にはマガジンの横に開いた穴の数が違うのですが、誰も知らないでしょ!(たぶん?)。
今回のお話は、とある美術館が舞台で、そこで(なぜか?)「武器展」が開催されて居て、その会場からボチャードが盗まれる・・・・と言う設定で、その「武器展」の展示物もボクがコーディネート「雨宮ファンの方にはウケるかな?」と言うコトで、ボクが担当した雨宮作品のプロップをさり気無く(わざとらしく?)紛れ込ませました。
20年近く前の監督デビュー作「未来忍者」の封印砲や「ゼイラム」のイリアのプロップやハカイダーショットも混ぜてあります(勿論すべて撮影当時のホンモノの発砲用プロップ)
雨宮作品を見てこの世界に入った若い造形スタッフの面々には大受けでしたネ!