シャープスカービン

<はじめに>

「たそがれ清兵衛」に続く、山田洋次監督の時代劇第2作「隠し剣 鬼の爪」に使用予定のプロップガンが形になって来たので御紹介します。
今回の映画も幕末の東北の小藩が舞台でして、最新式(当時としては?)の舶来小銃が出て来ます。監督にイロイロ資料を見て頂いた所、「レバーアクションの出来る銃が良い!」と言うリクエストが小道具担当の助監督さんを通じて伝えられました。時代設定から見ると、シャープスやスペンサーあたりなら問題無い様なので、其の辺りを使う事にしました。
劇中設定では4丁の銃が必要(ダミーガンも含めて8丁)ですので、ゼロからのスクラッチと言う訳にもいきませんから、デニックス製のディスプレィモデルをベースにする事にしました。銃を整備している様なシーンも有るので、作動ギミックの方も、そこそこリアルに動かせる様に、手を掛けてます。
一番問題になったのは、デニックスの、あの鮫肌状の表面処理です。取り敢えず金属(ダイキャスト?)なんだから何とかなるだろう!とばかり作業を開始しました。

その1

取り敢えず、デニックス製のシャープスカービンを、ネジ一本までバラバラに分解します。
一丁毎にネジ穴の位置などが微妙に違っているので、一丁ずつ作業するハメになりました。
ネジ自体も同じ様なサイズのモノが、ゴチャチャに使って有るので、何処のネジか記録しておく必要がありました。

その2

金属部品の表面に塗装してあるラッカー(?)を剥離する為と、表面の縮緬皺(ザラザラした表面表現)を取り去る為に、徹底的に磨き上げます。
まずヤスリや荒めのペーパーでパーティングラインを消して、食い合せの悪い部分の修正を済ませてから、各金属部品を、ひと皮捲る感じで磨き倒します、(腱鞘炎や筋肉痛に注意して下さい)。
250番位のペーパーから始めて、800〜1000番まで繰り返し磨きます、そのあとスチールウールの細かいモノでヤスリ目を消します。
写真で磨き終わった本体と、仕上げ前のサイドプレートの差がわかりますか?

その3

カ-ト?の排出ギミックの組み込みをします、このギミックの構造はいとも簡単で、カップ状のチャンバーの中に、少し強いスプリングが入っているだけです。
丁度「ビックリ箱」を横にした様なモノだと御考え下さい。

その4

発火用のスイッチをサイドプレートに組み付けます、今回はハンマーの動きと同調させる為に、単発発火専用に加工しました。

その5

ある程度内部機構が出来上がった所で、ブルーイング処理を開始します。
ブルー液はいろいろ試してみたんですが、一番良い色が出たのが、なんとブルー液の廃液ミックスだったんです。我が社ではブルーイングの時に一度使って残った液を元のボトルに戻さずに、「廃液」扱いにして別のビンに溜めておいて、取り敢えず金属を黒くするだけの時に、ドブ漬けしたりするのに使用しています。中身はいろいろなメーカーのブルー液の(一度使った残り物の)寄せ集めです。その廃液ミックスが一番「その感じ?」の色に仕上がりました。
ブルーイングのあとは、「ピカール」などの金属磨きでツヤを出しておきます。

その6

リアサイトはウインチェスター用をパーツで手に入れて、ネジ止めしました。

その7

機関部も、「良い加減?」に適当なデティールアップをしています。ブリーチブロック部だけはわざとらしく「銀磨き」で仕上げました。

その8

ストック後部にはパッチ入れ用の真鍮の蓋を再現!
本来カービンタイプには、付いていないモノが多いのですが、今回はカービンリングも取り外しているし、負い皮も付けるので、あえて取り付けました。

その9

写真上:デニックスオリジナル
写真下:今回のカスタム品、海外のホームページで入手した資料写真から判断して、バレル長をデニックスより少し長く仕上げました。
木部から出たあたりから、ネジで外れて、電気発火弾がセット出来ます。
撮影の都合で(日本仕様?)スイングスイベルリングと負い皮が取り付けてあります。