エピソード39『早々のキャスティング?』

 「あぶない刑事」が終了して、その後番組として、中村トオルさん主演で「俺達ルーキーコップ」と言う制服警官を主人公にしたドラマが製作された時のお話です。
 開始早々3話目でキャスティングして頂きました、これはとても珍しいコトで、「何かウラが有るんじゃあ無いか?」と考えました
 「なんの役なんですか?」と聞いても「台本は衣装合わせでお渡しします!」とトボケられます、これは増々怪しい?こちらの業界では(契約書なんて書きませんから)衣装合わせが終わったら「契約成立」みたいな不文律が有ります、その衣装合わせまで「役」を教えないと言うのはとても「変」なんですネ。
 取り敢えず指示された日に衣装合わせに調布の日活撮影所に行ったら、ボクの役は「密造拳銃を作っているモデルガンショップの店長の役(?)」で、衣装合わせをしようとしたら「そのままで良いよ!」と監督が言います、「日活撮影所に来るには調布駅からタクシーに乗って来て、電車代供で片道1500円位以上掛ってるんだから意地でも合わせる!」と主張して、普段着ているモノとあんまり変わらない衣装を決めて帰りました。
 撮影当日、ロケセットのモデルガンショップに行くとレギュラー出演している大杉漣氏がいました、今日のシーンは刑事役の大杉氏が聞き込みに来るシーンです。彼とは古い知り合いなので、ロケセットのモデルガン屋のウインドウを挟んで話をしていましたが、しばらくすると、助監督さんが「そろそろ開始します!」と声を掛けました。
 その途端目の前の大杉氏が真面目な顔で「栩野チャン、そこ(カメラのフレームに)入るよ!」とひとこと!彼はず〜っとボクが(普段と同じ様な衣装なので)スタッフで来ていると思っていたんですね、長年俳優やっていますが、カメラの前で「そこ入るよ!」と言われたのはこの時だけでした。