エピソード33『手錠のままの昼食?』

 これも20才代の中頃、松竹系のテレビの刑事物で、連行される犯人の役を頂いた時のお話です。
 忘れもしない、その日は朝七時出発で御殿場にロケーションに行きました。連行される犯人なので、衣装に着替えると小道具さんがイソイソと(?)やって来て、手錠を填めてくれました。結構チャンとした手錠で、奇術なんかに使う簡単に外れる仕掛けなんか無い、もしかしたらホンモノ(?)と思う様な手錠でした。
 午前中の撮影も順調に進み、お昼御飯の時間になりました。制作部さんがお弁当を配り始め、ボクの所にも持って来てくれました。
 「これ(手錠)外してもらえませんかね?」と私、「そ〜ですね、小道具さ〜ん!」と助監督。すると小道具さんがすまなさそうに、頭をさげていました。でも小道具さんは「エッ?あのぉ〜鍵は?・・・エ〜ッ撮影所に忘れてきたの?」・・・。
 てなコトで、スペアキーもないから手錠を外す事が出来ず、昼のお弁当もその小道具さんに食べさせてもらうコトになりました。
 結局その日一日、ナイトシーンまででしたから、大船の松竹撮影所に戻るまでの約13時間手錠をされたまま。さすがに手首の廻りが、赤むくれになって、腫れあがってしまいました。でもそれから撮影が終了するまでの残り3日間も、手錠を填め続けていたら(もちろん填める前にカギが有る事を確認して、撮影時間外ははずしてもらってたんですけど)汗とホコリが原因なんでしょうか、皮の剥けた部分が化膿し始めて(ちょうど夏の盛りでしたから)、結構大変な事になる所でした。
 この時の小道具さんから記念に(?)、手錠のスペアのカギを貰って、しばらくお守り代りにキーホルダーに付けました。