エピソード30『菊千代のヨロイ?』

  先日久しぶりに、神田の古本屋街をブラブラしたんですが、その折に映画関係の古書をいっぱい扱っているお店と出会いました。その中で映画パンフレットのコーナーを見ている時、一段と大事に展示されている一冊のパンフレットが目に止まります。現在のパンフレットの半分位のサイズのそれは、なんと!黒澤明監督の「七人の侍」の初公開の時のモノでした。勿論大変貴重な物と見え、ガラスのケースの中で、ビニールに包まれていました。
 値段は8万円位だったと記憶しています。その値段が高いか安いかはともかく、とても面白い発見がありました。あの映画自体は御存知の通りモノクロ作品なので、衣装や小道具の色目は想像するしか無いのですが、このパンフレットの表紙はカラー印刷された物。当時の事ですから、モノクロの写真に手で彩色したモノを原画にして印刷された物なんですが、それを見ると、三船敏郎さん演ずる菊千代が映画の後半着用する「畳み鎧」の色が真紅(真っ赤)なんですね。以前ボクが目にしているポスターでは黒っぽい茶色になっているんですが(ビデオやDVDのパッケージも茶色です)、この初公開の時のパンフレットでは「真っ赤」なんです。
 あの映画の、山間の村のオープンセットは、成城にある東宝撮影所近辺の雑木林の中に建てられた物なんだそうで、撮影所からの移動も徒歩で出来た位近くだったんです。そんな所にあれば、パンフレットを作る宣伝部の担当者が一度位は見学に行っているでしょうし、それならあのヨロイの色も正確に記憶している筈ですよね。それ以上に黒澤監督なら「真紅のヨロイ」も有り得ると思いませんか?
 そ〜思ってあのモノクロの映画を見直すと、あの菊千代のヨロイが真紅に見えて来るから不思議なんです!