エピソード18『助監督はキングギドラ?』

 映画の助監督と言うのも不思議な商売です。文字通り監督の助手なのでとてもカッコ良い仕事と考えがちなのですが、そんなに甘い物でも無いんです。早い話が「撮影現場の雑用係」といった所ですからね。「映画撮影コント」みたいにニッカポッカを穿いてメガホンを振り回して、怒鳴り捲る様な監督は最近は少なくなりましたが、そんなムチャクチャな監督や、身勝手な女優さんの言う無理難題をこなして行く内に、人心掌握術を勉強する物なのだそうです。しかし、これだけはハッキリ言えるのですが、『名助監督』がそのまま『名監督』にはならないと言う事です。
 助監督の時に、段取りが良くて、現場の進行も卒なく最高の助監督だったヤツが、「監督!」と呼ばれる様になった途端に、ど〜仕様も無いダダッ子になったって言うのも良く有る話です。
 勿論「コイツは物になりそうかな?」と言う才能の片鱗を見せる助監督も居ますけど、「お前もう辞めて故郷に帰ったら!」と言いたくなるヤツもイッパイ知っています。
 ある現場で、チーフ以下3人の助監督が取り敢えず良く動いてはいるのですが、3人が同じ事に引っ張り廻されていて現場が停滞する日が続いていました。監督やカメラマンから何か急な注文が有ったりすると、3人がワ〜ッと何処かにいなくなっちゃうんです。
 何日目かに頭に来て「バカやろ〜お前ら3人で何やっているんだ!頭が三つ付いてりゃあ偉いって物じゃあ無いぞ、頭が三つ有って強いんなら、キングギドラはとっくにゴジラに勝ってるんだぞ!」と、言っている本人自身が何だか訳の分からない事を言ってしまったら、意外と廻りの人間に大受けてしまって、「あれ?ボク何か面白い事言った?」となってしまって、お小言が全く効きませんでした。
 でも、その3人の内2人はもう監督と呼ばれる様になっています、分からない物ですね、人生って?