エピソード15『ヒーローショウの珍事?』

 「ヒーローショウ」とは遊園地の野外ステージやデパートの屋上等で開催されるテレビの変身ヒーローを主人公にしたショウの事で、我々売れない俳優には割の良いアルバイトでした。
 チャンとした遊園地やイベントで開催されるショウはテレビの撮影も担当しているスタントチームの面々がアクションを担当しているので、其れなりに迫力も有り面白い演出も有るのですが、地方のショッピングセンターの屋上等で開催されるショウ。それもリアルタイムでオンエアーされているヒーローでは無く、2〜3年前に放映されていたヒーローが主人公の物等は、かなりいい加減な物が有りました。
 ヒーローを演じる人間が誰もその番組を観た事が無く変身ポーズも分からないままやった事も有りましたし、ある時は荷物のトランクを開けたら五人組のヒーローの衣装だけが2セット。しかも衣装とマスクが各々1個づつのトランクに入っていました(※つまりその日開催された別の会場にはマスクだけが2セット届いた事になります)。仕方が無いので「変身途中で駆け付けた?」と言う設定でショウを開催しました。勿論主催者側からはギャラは出なかったそうです。
 二日酔いでアクションをして、マスクの中でゲロしちゃって、ヒーローの目や口(に開けられた呼吸用の穴)から勢い良く吹き出した瞬間は壮絶でした。
 楽しい事も結構有りました。遊園地に来ていた女の子と一緒に写真を撮ったのがキッカケで、後に結婚まで行ったなんてカップルの話は結構有りましたし、ヒーローに変身した父親を尊敬の眼差しで見上げる小さな男の子なんてのもとても良い姿でした。
 土曜日曜で開催されるヒーローショウを手伝っただけで、下手なバイトの1週間分位はもらえた時代でしたので、喰えない俳優としては、大助かりでした。最近ケーブルテレビでその時代のヒーロー物の再放送を観る度に思い出しています。