エピソード12『ソロモンとの出会い』

 「ソロモン」その名前を御存知の方はかなりの邦画マニアです。
 勿論ニックネームです、本名広瀬正一、ソロモン海戦の生き残りと言う事でこの渾名が付いたそうです。東宝映画の(ボクは嫌いな表現なんですが)大部屋俳優さんでした。
 黒澤明監督の代表作「七人の侍」はボクの大好きな作品で、マイビデオも有って、たぶん1000回位は観ていますけど、何度目かに観た時、ある脇役に目が止まりました。野武士役の1人なんですが、とても目立ったお芝居(俗に言うクサイ芝居ですね)をするボク好みの俳優さんがいます。
 素っ裸に赤い褌(勿論「七人の侍」はモノクロ映画ですので、あくまでボクのイメージですよ)。頭に義経の冠っている様な大鎧の兜をのせて、監督の指示を無視するかの様な勝手気ままなお芝居をしています(※こんど「七人の侍」を御覧になる時には注意して御覧下さい)。名前も分からないその俳優さんの大ファンになりました。
 「影武者」の出演者オーディションの時、黒澤監督にそのお話をしたら、「ああ、ソロモンね、君は彼のファンか!そりゃあ、ソロモンが聞いたら喜ぶぞ」「え?ソロモンさんて言う方なんですか?外人さんですか?」「いやあ、ソロモン海戦の生き残りでね、まだその辺(撮影所の中)にいるけどね、奴さん達も歳取っちゃってね、そうかソロモンのファンね、こりゃあ良い話だ」と仰って、なぜかオーディションにも合格。「影武者」にも出演する事が出来ました。
 現場でも古くからの黒澤組のスタッフらしい人達に「彼はソロモンのファンなんだってさ!」と何回か紹介してくださいました。後日ソロモンこと広瀬正一さんとお仕事する機会にも恵まれたんですが、そのお話は、また次のお話のネタにする事にしましょう。