エピソード9『バミテで場見って?』

 最近漫画や小説などを原作にした映像作品が増えて来ました。映像化される位なのだから、超売れっ子の作家先生達の筈なんですが、必ずと言って良い程現場見学に来られます。皆さん映画お好きなんですね。まあその中には御自分の小説のネタに使う為か、しっかり取材して帰られる方もいらっしゃいます。
 その日も、高額納税者番付に必ずお名前を見掛ける小説家の先生が見学にお見えでした。
 撮影の現場をウロウロしながら、出演者そっちのけで、スタッフの動きや機材をメモしたり写真に納めたりしていらっしゃいました。
 チーフ助監督が「おい!そこ・ばみって・・」とサード助監督に指示した瞬間に、その作家先生がボクの方ににじり寄って来られて(ボクが一番ヒマそうなスタッフに見えたんでしょう、実際ガンエフェクトと言う仕事は銃を発射するカット以外はホント、ヒマなんですよね)、「あの〜今あの助監督さん何て言いました?」「ばみって・・・ですけど?」「どんな字を書きますか?」「エ?さ〜ぁ、『場所』を『見る』かな・・・?」「なる程『場見る』ですね、ナルホド」。
 『場見る』と言うのは俳優さんの立ち位置等に印を付ける事なんですね、そこでボクの悪戯心に火が着きました。「あの〜先生、その『場見る』は五段活用するんですよ、『場見り、場見れば、場見る時、場見れば、場見れ、って具合ですね」「なる程、面白いですね」「それに『ばみて』と『ばみって』も違うんですよね」「どう言う風に違うんですか?」「『ばみて』は『場見り』を示すテープの事で、字で書くと『場見テ』ですね『ばみって』の方は『場見りをしてネ!』と言うお願いですかね・・」「なる程、ナルホド・・・」先生は大きく頷くと、盛んにメモを取っていらっしゃいました。
 その内これがミステリーのトリックに使われるかも知れません、題して「バミリ殺人事件」あんまり面白そうじゃあ無いですかね。