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24才頃のお話です、その頃仲の良かった女の子の実家に遊びに行く事になったんです。彼女の親父さんが、楽しみにしていると言うので、不思議だな、と思って居ました。行って見たら、実家は立派なお寺さんでした。
座敷に通されるなり、親父さんが一言「栩野さん、坊主になる気は有りますか?」「ハァ?(・・・なるほど、そう言う事か)」「あんた、役者さんだよねえ、坊主も役者もお客さんの前で芸をして、お金を貰うのは同じでしょう。」「なるほど!」「役者さんは、その度にセリフを覚えなきゃあいけないけど、坊主のお経は、一度覚えたらそれで一生喰っていける。」「ウ〜ン」「結婚式は2人で1回だけど、葬式は2人いれば必ず2回有る!」「結婚しない人や、2回以上する人もいますし、心中や事故だと2人まとめての葬式ってのもあるでしょうけど、常識的にはそうですよね。」「結婚式はその度に会場を探すけど、葬式は必ず檀家寺でやる、此の寺は300年近い歴史がある、檀家も充分あるので、あんた一代では絶対に潰れない」「ウン、ウン!」「税金も殆ど払わなくて良い。」「宗教法人ですもんね・・・でもボク死んだ人に触るのはチョット嫌ですね。」「それは葬儀屋の仕事!坊主は敷かれた座蒲団に座って、お経をあげていれば良い、座蒲団に座って芸をするのだから、落語家と同じだね」と、一々納得が行く説得が2時間ばかり続きました。
彼女の家は妹さんとの2人姉妹。妹さんはもう結婚して家を出ていたので、親父さんとしては、寺の跡継ぎ捜しに必死だったんでしょう。そこに堅物のお姉ちゃんのボーイフレンドが来ると言うので、手ぐすね引いて待っていた訳です。ただ一つ親父さんの大きな勘違いが、ボクとその彼女がホントに友達だけの関係だったと言う事でした。
彼女は翌年御養子さんを貰って寺を継ぎました。今思えばあれが人生の分かれ道だったのかも知れませんね? |
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