エピソード3『忍法カチンコ早打ちの術』

 15年程前のお話ですが、「TOKYO POP」と言うハリウッド映画の日本ロケに参加した時のお話です。
 演出部でも、何人か日本人のスタッフが参加しており、助監督の一番下っ端も日本人でした、映画のカチンコは何故か一番下っ端の助監督さんのお仕事ですから、この現場でも、その日本人の助監督が打っていました。
 日本の現場では、監督の「よ〜い、スタート!の掛声で、素早くカチンコを打って、サッと引っ込める、理想で言えばカチンコが閉じている間が1コマ(つまり1/24秒?)で有る事がベストなんですが、ハリウッドでは「レディ(用意)」カチンコ!「アクション」の順で、カチンコを先に(ゆっくり)打って(ゆっくり)引っ込めるのです。
 ところがこの助監督君が何時もの癖で、早く打って、サッと引っ込めると、カメラマンが「カット!、はやい!俺には見えなかった!」と言うのです(見えないほど早い訳無いんですがね)。それじゃあと言う訳で「これでもか!」と言う位ゆっくり打つと「OK!」が出て、撮影が始まります。しかし昼飯等が入るとコロッと忘れてしまって、また何時もの調子で、カチンコを打ってしまいカメラマンに注意されていました。
 休憩時間か何かに、そのカメラマンがボクに聞くんです、「なあトチ、彼は何故にあのように早く、まるで風の様にカチンコを打つんだ」(勿論英語ですよ)。「ア〜、ヒズ、グランドファーザー、イズ、グレーテスト、ニンジャ(奴の爺さんは有名な忍者なんだ)」と言ってやったら、「オウ、イエ〜(なんだそうか!)」と来ちゃいました(納得しちゃあダメだって、ジョークなんだから)。そうしたら次の質問が「ところでトチ、お前の家柄はニンジャか?サムライか?」と来ちゃいました・・・。
 お前らの分け方には、それだけしか無いのか!