エピソード2『ロケ弁、東西、東西!』

 「ロケ弁」とは「ロケーション弁当」つまり、ロケーションの昼食(もしくは夕食)に出される弁当の事で、大体ホカホカ弁当の、日替わり幕の内か駅弁程度の物が出されます。金額的には500円から800円位の物でしょう。気の利く制作部だと、これに手作りの味噌汁が付きます。寒い日のロケ等では、この一杯の味噌汁がナミダが出る程嬉しいんです。
 ボクの様なベテラン(?)になりますと、このロケ弁の良し悪しで、その作品の制作費の見当が付く様になります。視聴率が25%を越す、テレビのゴールデンタイムのバラエティー番組やトレンディードラマのロケですと、一人前3000円以上する六本木の高級焼肉店の「タン塩弁当」が出て来ます。反面ビデオシネマやピンク映画等の低予算の現場では、350円位の「のり弁当」が出される事も有りますが、取り敢えずメシだけはチャンと喰わせてくれます。
 これが京都に行くとガラッと事情が変わります、毎日掲示されるスケジュール表の隅っこの方に小さく「弁当持参!」と書かれています。つまり手弁当なんですね。これは大作でも変わりません、つまりそう言う伝統らしいのです。それでも現代劇のロケなら、近所にコンビニでも食堂でも有りますが、これが時代劇のロケでトンでもない山奥につれて行かれちゃうと、も〜大変です。東京から行った新人がまず受ける京都の洗礼が、この「弁当持参」です。意地悪なのか、それが当たり前だと思っているのかは知りませんが、京都のスタッフは絶対に教えてはくれませんからね。
 我々映画のスタッフは一年で300食位は弁当を食べます。そりゃあ1人2人が「昨日のロケ弁変じゃあなかった?」と言う事は有りますが、不思議な事に、撮影隊全員が食中毒になったと言う話は聞いた事ありません。映画のスタッフは身体の造りがとっても雑に出来ている様です。